なぜ世界の4割前後のホームページがWordPress(ワードプレス)でできているのか

目次

はじめに

「御社のホームページ、WordPress(ワードプレス)で作りませんか?」

制作会社やIT担当の方からそう提案されたとき、「ワードプレス」という言葉はなんとなく聞いたことがあっても、実際どういうものなのかはよくわからない、という社長も多いのではないでしょうか。

そのままにしておいても業務は回りますが、せっかくの機会ですから、「なぜそれが選ばれているのか」「何にお金がかかって、何に気をつければいいのか」を大まかにでも掴んでおくと、制作会社との打ち合わせも捗ります、きっと。

本記事では、専門用語をできるだけ避けながら、WordPress(ワードプレス)というものの正体、世界中で使われている理由、導入のメリット・デメリット、そして運用にまつわるリスクやコストについて、やさしくフラットに紹介していきます。

読み終えるころには…

「なんとなく任せる」のではなく「納得して選べる」感覚を持っていただけたら幸いです。


1. WordPress(ワードプレス)とは何か → 「ホームページを作るための土台」

WordPress(ワードプレス)とは、簡単に言うと「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」と呼ばれる仕組みの一つです。CMS(シーエムエスと発します)というのは、専門知識がなくてもブラウザの管理画面から文章や写真を入力・更新できる、ホームページ運営のための土台のようなもの。

例えるなら、WordPress(ワードプレス)は「完成度の高い注文住宅の骨組みキット」に近いかもしれません。

土地(サーバー)を用意して、その上に骨組み(WordPress本体)を組み立て、間取りや内装(デザインのテーマ)、家具や設備(機能を追加するプラグイン)を自由に組み合わせることで、ブログメディアにも、企業のホームページにも、ネットショップにも姿(=目的)を変えることができます。

もともとは2003年に、個人がブログを書くための小さなツールとして生まれましたが、20年以上の積み重ねを経て、今では大企業のコーポレートサイトから個人商店のホームページまで、幅広く使われる汎用性優れるプラットフォームに育ちました。

ちなみに、

WordPress(ワードプレス)自体は無料で公開されている「オープンソースソフトウェア」です。誰でも無料でダウンロードできます。世界中の開発者(システムエンジニアやプログラマー)がボランティア精神のもと改良に参加しています。これが、後ほど紹介する「始めやすさ」や「選択肢の豊富さ」につながっています。

2. なぜ世界中のホームページがWordPress(ワードプレス)で作られているのか

数字で見るWordPress(ワードプレス)の存在感

客観的な数字を少しお話すると、、、

ウェブサイトの利用技術を継続的に調査しているW3Techsという調査機関によると、2026年時点で、全世界のウェブサイトのおよそ4割前後がWordPress(ワードプレス)で作られているそうです。そして、何らかのCMSを使っていると判別できるサイトに絞ると、その約6割がWordPress(ワードプレス)だといわれています。2位につけるShopify(ネットショップに特化したサービス)でも1割に届かない程度ですので、かなり大きな差があることが伺えます。

なぜこれほど選ばれているのか。

理由をいくつか紹介します。

理由1:無料で始められて、選べる幅がとても広い

WordPress(ワードプレス)本体が無料であることに加えて、デザインを決める「テーマ」は登録数だけで約1.5万個(有効数は約8,500個)、機能を追加する「プラグイン」は公式のものだけで6万〜7万種類以上が公開されています。

問い合わせフォーム、予約システム、多言語対応、ネットショップ機能、SEO対策など、必要になりそうな機能のほとんどは、無料、あるいは数千円〜数万円程度の有料プラグインで実現できることが多いです。ゼロから作るのに比べると、制作コストも制作時間もぐっと抑えやすくなります。

理由2:「作れる人」が世界中にたくさんいる

利用者が多いということは、それを扱える制作会社やエンジニア、デザイナーも世界中にたくさんいる、ということでもあります。

特定の一社にしか扱えない特殊な(癖の強い)システムで作ってしまうと、その会社と連絡が取れなくなったときに困ってしまうことがありますよね。WordPress(ワードプレス)ならセカンドオピニオンや他社へ相談できるハードルが低く、安心感もあります。

理由3:検索エンジンに強い作りになっている

WordPress(ワードプレス)は、検索結果に表示されやすくなるための基本的な仕組み(見出しの整理、URLの整え方、スマホ対応など)をもともと備えていて、SEO(検索エンジン対策)を専門に扱う便利なプラグインもたくさんあります。

もちろんプラグインを入れただけで検索結果の目立つポジションに表示されるわけではなく、最終的にはホームページの内容とコツコツした運用がものを言うのですけれど、「土台として扱いやすい」というのは事実です。

理由4:更新のしやすさ ― 制作会社に頼りきりにならなくてもいい

多くの企業にとって、いちばん実感しやすいのがこのポイントかもしれません。

プレスリリースを出したり、キャンペーンページを作ったり、ブログを更新したり――こうした日々の情報発信を、専門知識のない社内の担当者でも、ブラウザの管理画面から比較的簡単に行えます。(担当者のやる気も重要!)

更新のたびに制作会社へ依頼して、数日待って、費用を払って…というサイクルから少し自由になれることは、情報発信のスピードにも、年間のコストにも良い影響を与えてくれます。

こうした理由が積み重なって、WordPress(ワードプレス)は「個人ブログのツール」から「世界の情報インフラの一部」と呼べるくらいの規模にまで成長しました。

大手ニュースメディアや大学、有名企業のコーポレートサイトの中にも、WordPress(ワードプレス)で作られているものが数多くあります。


3. WordPress(ワードプレス)のうれしいポイント

(1)初期費用を抑えやすい

ソフトウェア自体が無料なので、初期費用の多くは「デザイン・構築を依頼する制作費」と「サーバー・ドメインの契約費用」に絞られます。既製のデザイン(テンプレート)をうまく活用できれば、フルオーダーで一から作るのに比べて、初期投資をかなり抑えられることもあります。

(2)更新・情報発信を自分たちでできるようになる

先ほどお伝えした通り、専門知識がなくても社内でブログ記事やお知らせを更新できるので、外部への依頼コストや待ち時間を継続的に減らせます。特に採用情報やキャンペーン情報など、鮮度が大事なコンテンツをこまめに出したい企業にとっては、うれしいポイントです。

(3)会社の成長に合わせて機能を足していける

会社が大きくなって、「ネットショップを始めたい」「予約システムを入れたい」「会員限定ページを作りたい」となったときも、プラグインの追加で対応可能なケースが多く、サイトを一から作り直さずに済むことが多いです。

(4)特定の制作会社に頼りきりにならずに済む

WordPress(ワードプレス)を扱える会社やエンジニアはたくさんいるので、「今の制作会社とはもう付き合いを終えたいけれど、システムが特殊で他社に引き継げない」といった事態が起きにくくなっています。これは長い目で見たときに、意外と大事なポイントです。

(5)情報やノウハウがとにかく豊富

利用している人が多いので、何かトラブルが起きたときにも解決のヒントがインターネット上で見つかりやすく、社内の担当者が自分で調べて対応できるケースもあったりします。


4. 気をつけておきたいポイント

ここからは少し気をつけておきたい点をご紹介します。

(1)「無料」だけれど「そのまま放っておいていい」わけではない

WordPress(ワードプレス)本体は無料ですが、サイトを健やかに保つには、本体やテーマ、プラグインの定期的な更新、バックアップ、セキュリティ対策といった「お手入れ」が欠かせません。

この「お手入れ」を後回しにしてしまうと、後ほどお伝えするようなリスクにつながりやすくなります。「初期費用が安い=ずっと安く済む」というわけではない、という点だけ頭の片隅に置いてください。

(2)表示速度がゆっくりめになりやすい

WordPress(ワードプレス)は、ページを表示するたびにサーバー側でプログラムを組み立てる仕組みになっているため、機能(プラグイン)を増やしすぎたり、サーバーの性能がそこそこだったりすると、表示速度がゆっくりになりやすい傾向があります。

ある調査では、WordPress(ワードプレス)サイトの平均的な表示速度はパソコンで2.5秒ほど、スマートフォンでは10秒を超えることもあるそうです。

表示速度は検索順位にも訪問者の使い心地にも関わってくるので、少し意識しておきたいところです。とはいえ、これはサーバー選びやプラグインの整理、キャッシュの設定などで、かなり改善できる部分でもあります。

(3)自由度が高い分、作り込みすぎると分かりにくくなることも

社内の詳しい担当者や特定の制作会社が、時間をかけて独自のカスタマイズを積み重ねていった結果、「その人・その会社にしか分からない」という状態になってしまうことが、実務上ときどき起こります。

せっかくの「乗り換えやすさ」という良さを、運用の仕方次第で活かしきれなくなることもある、というのは少し意識しておきたいポイントです。

(4)攻撃の標的になりやすい面がある

これは次の章でもう少し詳しくお伝えしますが、世界一のシェアを持っているということは、裏を返せば、世界でいちばん狙われやすい立場にもある、ということです。ここはWordPress(ワードプレス)を選ぶうえで、いちばん気にかけておきたいポイントかもしれません。


5. 運用のリスクについて ― 特にセキュリティ面で知っておきたいこと

なぜWordPress(ワードプレス)は狙われやすいのか

サイバー攻撃をする側から見ると、いちばん「効率よく」攻撃できる相手は、利用者が多く、弱点のパターンをつかみやすいシステムです。

WordPress(ワードプレス)は世界のウェブサイトの4割前後を占めているので、一つの攻撃方法を見つければ、非常にたくさんのサイトに対して、自動的に仕掛けることができてしまいます。

実際、WordPress(ワードプレス)サイト全体に対しては、1分間に数万件規模ともいわれる自動化された攻撃(不正ログインの試行など)が常に行われていると報告されています。

ここで少し誤解が生まれやすいのですが、「WordPress(ワードプレス)本体そのものに大きな欠陥が多い」というわけではないようです。

セキュリティを専門とする機関の調査では、見つかる弱点の9割以上は、WordPress(ワードプレス)本体ではなく、後から追加する「プラグイン」や「テーマ」に由来しているとされています。

つまり、気をつけるべき本丸は「本体」というより「後から足した拡張機能の管理」にある、ということですね。

実際に起こりうる被害

WordPress(ワードプレス)サイトが不正アクセスを受けてしまった場合、次のような被害がよく報告されています。

  • サイトが書き換えられ、勝手に不正な広告や別サイトへの誘導リンクが埋め込まれてしまう
  • 悪意のあるプログラムが埋め込まれ、訪問者にまで影響が及んでしまう
  • 迷惑メール送信の踏み台にされ、自社のメールアドレスが「危険な送信元」として扱われてしまう
  • ネットショップ機能を使っている場合、お客様のクレジットカード情報など個人情報が漏れてしまう
  • Googleなどの検索エンジンから「危険なサイト」と判定され、検索結果に警告が表示されてしまう

特に最後の「検索エンジンからの警告表示」は、単なる技術的なトラブルにとどまらず、会社の信用そのものに関わってきます。

取引先や採用候補の方がホームページを見に来たときに「このサイトは安全ではありません」という警告が出てしまうと、想像以上にイメージダウンにつながってしまいます。

リスクの多くは「ちょっとした管理不足」から

セキュリティを専門とする機関の調査で繰り返し指摘されているのは、被害の多くが高度な攻撃技術によるものというより、次のような「ちょっとした対応の遅れ」から起きているという点です。

  • WordPress(ワードプレス)本体やプラグイン、テーマの更新を後回しにしていた
  • 推測されやすい単純なパスワードのままだった
  • あまり更新されていない、信頼性の低いプラグインを使い続けていた
  • 二段階認証などの基本的な対策を取り入れていなかった

つまり、WordPress(ワードプレス)というシステム自体が危ないというより、「導入したあと、誰も気にかけていない」状態になってしまうことが、いちばん気をつけたいポイントのようです。

これは社長にとっても大事なヒントだと思います。ホームページは作って終わりにするのではなく、継続的に気にかけてくれる体制(社内の担当者、または保守契約を結んだ制作会社)を、あらかじめ用意しておくと安心です。


6. コストの全体像 ― 「作って終わり」ではないことを知っておく

WordPress(ワードプレス)サイトを作って運用していくときの費用は、大きく4つに分けて考えると整理しやすいです。

① 初期構築費用

  • 既製のデザインテンプレートを使った、比較的シンプルな構築であれば、数万円〜30万円程度
  • 会社の要望に合わせたオリジナルデザインや機能開発を含む、しっかりした構築であれば、50万円〜数百万円になることも珍しくありません

制作会社によって金額の幅がかなり大きいので、「何をどこまでオーダーメイドで作るのか」を明確にしたうえで、いくつか見積もりを取ってみるのがおすすめです。

② サーバー・ドメインの維持費

  • レンタルサーバー費用:月額1,000円〜数万円程度(アクセス数やサーバーの性能によって変わります)
  • 独自ドメインの維持費:年間1,000円〜5,000円程度
  • SSL証明書(通信の暗号化):無料〜年間数万円(多くのレンタルサーバーでは無料で提供されています)

③ 保守・セキュリティ運用の費用

自社では対応が難しい場合、制作会社と保守契約を結ぶのが一般的で、相場は月額数千円〜数万円程度です。内容には、本体やプラグインの更新対応、定期的なバックアップ、不具合が起きたときの対応、セキュリティの見守りなどが含まれます。

「初期の構築費だけ払って、あとは特に契約していない」というケースも見受けられますが、これは前の章でお伝えしたようなリスクを高めてしまう選び方になりかねないので、少し気にかけていただけたらと思います。

ちなみに、弊社では保守契約の中にレンタルサーバーに付随する電子メールの運用管理(メールアドレスの新規作成や削除、メールの送受信がうまくいかない時のサポートなど)も含めて提供しています。

④ 有料テーマ・有料プラグインの費用

美しく高機能なデザインテーマや、予約システム・多言語対応といった専門的なプラグインは有料のこともあり、買い切りで数千円〜数万円、サブスクリプション形式の年間契約で数千円〜数万円程度まで、幅があります。

コストを考えるときに、少し意識しておきたいこと

WordPress(ワードプレス)導入でよくあるすれ違いは、「初期費用の安さ」だけで比較してしまい、②〜④の継続的な費用や保守の体制を見積もりに含めずに契約してしまうことです。

特に②③は、サイトを公開し続ける限り毎年かかる費用なので、5年、10年という単位で見ると、初期費用よりも積み重ねの金額が大きくなることも珍しくありません。制作会社との打ち合わせでは、「公開後1年間・5年間でトータルどれくらいかかりそうか」を、一度聞いてみることをおすすめします。


7. 導入前に、さらっと確認しておきたいこと

最後に、WordPress(ワードプレス)での制作を検討するときに、制作会社に聞いておくと良い項目をまとめておきます。

  1. 保守体制:公開後の更新・バックアップ・セキュリティ対応は、誰が、どのくらいの頻度で、いくらくらいで行ってくれるのか
  2. わかりやすさの維持:使うプラグインやカスタマイズの内容は、もし他の制作会社にお願いすることになっても対応できる、一般的な範囲に収まっているか
  3. 表示速度への配慮:サーバーの性能やプラグインの選び方について、表示速度に配慮した提案をしてくれているか
  4. バックアップの体制:万が一の不正アクセスや操作ミスがあったときに、どの時点まで元に戻せるバックアップ体制があるか
  5. 費用の見える化:初期費用だけでなく、最低でも3〜5年分くらいの継続費用の見積もりを出してもらえるか
  6. 所有権について:制作してもらったホームページは自社のものとなるのか? 保守契約終了後、譲渡してもらえるのか?(ホームページを引き続き閲覧できる状態にしてもらえるのか?)

まとめ

WordPress(ワードプレス)が世界のウェブサイトの4割前後を占めている理由は、無料で始められる手軽さと、世界中の開発者や制作会社に支えられた、とても大きな選択肢の多さにあります。

これにより、企業は比較的抑えたコストでホームページを持ち、自分たちで情報発信を続けながら、会社の成長に合わせて少しずつ機能を広げていくことができます。

その一方で、これだけ多くの人に使われているからこそ、常にサイバー攻撃の標的になりやすいという面も持ち合わせています。

ただ、実際のところを見てみると、被害の多くは「更新の後回し」や「単純なパスワード」といった、ちょっとした対応の遅れがきっかけになっているケースがほとんど。

つまり、WordPress(ワードプレス)というシステムそのものというより、「導入したあと、誰がどう気にかけ続けるか?」という運用の体制づくりこそが、安心安全の分かれ目になりそうですね。

ホームページは、作って終わりの一度きりの買い物ではありません。事業と一緒に育てて、大切に守っていく情報資産です。

初期費用の安さだけでなく、保守の体制やトータルの費用まで含めて考えていただくことで、WordPress(ワードプレス)という選択肢を安心して活かしていただけるのではないかと思います。


本記事は、株式会社米善のIT事業部がお届けしました。

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