ウェブサイトを制作していると、
「お問い合わせフォーム」はあって当たり前の存在でした。
・商品についての質問
・サービスの相談
・採用に関する問い合わせ
・資料請求
ウェブサイトを訪れた人との最初の接点として、
お問い合わせフォームはこの20年以上、ずっと
重要な役割を担ってきました。
ところがコロナ禍以降、特にここ1〜2年、
存在意義が少しずつ変わってきています。
そう思ったきっかけは、
あるクライアントとのやり取りでした。
本当のお客様からの問い合わせより、営業メールのほうが多い
その会社では、お問い合わせフォームに届く
メールの約8割が、営業メールになっていました。
・SEO対策
・AI導入
・SNS運用支援
・人材紹介
・補助金
・動画制作
・システム開発
毎日のように届きます。
もちろん、
営業そのものを否定するつもりはありません。
問題は、その送り方だよねって話です。
本来はお客様からの相談を受け付けるための窓口が、
営業代行会社や営業自動化ツールによって埋め尽くされ、
本当に対応すべき問い合わせが埋もれてしまう。
問い合わせ担当者は、
一通一通メールを開きながら、
「これはお客様かな?」
「いや、営業だな。」
そんな確認作業を、
毎日繰り返すことになります。
この時間、正直なところ会社にとって
何の価値も生みません。
最近の営業メールは、とにかく”雑”になってきた
少し前の営業メールは、少なくとも
会社名や事業内容を見た上で書かれていました。
「御社の〇〇を拝見しました。」
「このようなお手伝いができます。」
多少テンプレート感はあっても、
「読んでいる」という気配はあったんです。
でも、最近届くものは様子が違います。
明らかにAIや自動化ツールで大量送信していると
思われる文章が増えてきました。
特に気になるのが、
文章が途中でぷつっと切れているメールです。
例えば、
「御社のウェブサイトを拝見し、
ぜひご提案したいことがございます。
そのサービスは※※※※です。
※※※※の特徴は………」
そこで終わってる。
理由は、フォームの文字数制限に
引っかかっているからなのですが、、、
フォームごとの入力上限を考慮していない。
すなわち、自動送信しているのがあからさま。
人の目を通さずに何百社、何千社へ
送っているのかなって思っちゃう。
ここまでくると…
迷惑メールと変わらない。
(お客様はそう思っています)
私たちが実際に行っている対策
もちろん、手をこまねいているわけではありません。
最近は、次のような工夫をしています。
・お問い合わせ本文の文字数制限の調整
・営業専用のお問い合わせフォームを別に用意する
・営業目的の場合は専用フォームから送るよう案内する
すると、面白いことが見えてきます。
営業専用フォームに届くメールは、比較的きちんと書かれている。
会社の事業内容を理解した上での提案も、少なくありません。
一方、お客様向けフォームに届く営業メールは、
ほとんどがテンプレートのまま。しかも、肝心の内容は
尻切れトンボ。
つまりそこには、
「営業専用フォームへ送る気はない」
「とにかく大量送信を優先している」という
姿勢が透けて見えてしまうわけです。
他社も同じ悩みを抱えている
この問題は決して珍しいことではありません。
ウェブサイト制作会社やフォームサービス各社でも、
・reCAPTCHAやCloudflare Turnstileの導入
・「営業目的での利用はご遠慮ください」という注意書き
・問い合わせ種別の選択
・営業専用フォームの設置
・特定キーワードによるブロック
など、
様々な対策をされています。
興味深いのは、最近では
「営業メールだけをAIで判定して除外する」サービスまで登場していること。
「営業メールが大量に届く」という
課題が新しいビジネスになっている。
一方で営業側でも、問い合わせフォームへの入力を
AIで自動化するサービスが登場しています。
中には、フォーム入力や送信そのものを自動化し、
大量配信を売りにするサービスまであります。
つまり、
[送るAI] vs [防ぐAI]
まるでAI戦争のような構図になりつつあるようです。
この戦いは、どこへ向かうのか?
最近、あるクライアントとこんな話をしました。
「もう、お問い合わせフォーム自体を無くしてしまいますか。」
少し前なら、あまり考えられない会話だったと思います。
でも今は、極端な話ではありません。
ウェブサイトはある。
でも、問い合わせは別の手段で受ける。
そんな会社が、これから増えていく…
かもしれない。
例えば、
・LINE公式アカウント
・Chatwork
・Slack
・資料請求後の担当者との直接連絡
・電話
・予約システム
最初から「誰と話しているか」が分かる
コミュニケーションへ少しずつ移行していく流れ。
願わくば、ノーコードツールの提供する
フォーム機能や WordPressの拡張機能(プラグイン)で
AIエージェント経由による迷惑メール判別機能
標準搭載!という形、おなしゃす!なのですが。
お問い合わせフォームは、AIによる
大量送信と相性が良すぎるんよなー。
お問い合わせフォームがなくなる日は来るのか
私自身は、お問い合わせフォームが
完全になくなるとは思っていません。
ただ、「ウェブサイトには必ずお問い合わせフォームがある」
そんな常識は揺らいでいく気がしています。
これまでは、
「お問い合わせフォームの設置」
だった常識が、
「御社にとって一番良い問い合わせ導線は何でしょうか?」
という提案へシフトしていく。
ウェブサイトは、作ることそのものが目的ではありません。
お客様と気持ちよくつながることが目的のはず。
そのために必要なのがフォームなら、使えばいい。
もっと良い方法があるなら、そちらを選べばいい。
お問い合わせフォームは、
長い間ウェブサイトの”入口”でした。
しかしAIが大量の営業メールを送り込むようになった今、
その入口そのものを見直すタイミングが来ているのかなと
思った今日このごろ。
現場からは以上です。

